炭酸ガスとは 工業や農業で不可欠なガス

炭酸ガスは身近にある

気体の二酸化炭素のことで、固体のドライアイスや水溶液の炭酸水で知られる物質です。炭酸ガスは炭素が酸化したもので、化学式のCO2は酸素のO2と並んで有名ですし、化学に詳しくない人でも知っている人が多くいます。
それほど有名な炭酸ガスですが、自然環境の保護においては地球温暖化の原因として嫌われています。CO2の排出量をいかにして減らすか、各国が向き合い挑戦している課題でもありますから、身近に当たり前に存在する物質ではありますが、文脈によっては捉えられ方がかなり変わります。

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炭酸の酸化物としては地球上でありふれており、様々な状態で存在していたり、触れる機会も少なくないといえるでしょう。炭酸ガスは一般的にそのまま目にする機会はあまりありませんが、水に溶け込んだ炭酸やケーキに用いられるドライアイスは身近なものです。

工業や農業で不可欠なガス

工業用途でも広く活躍していますし、農業やその他の分野でも不可欠な存在ですから、環境保護の分野は別として、有用性や多用途に活用できるメリットが大きいのは確かです。炭酸ガスとは常温だと無味無臭で、常圧の環境では液体にならないのが特徴です。

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固体のドライアイスになるのは-79℃で、水に溶ける性質を発揮します。水溶液は弱酸性を示しますが、炭酸水を口にするとわずかに酸味を感じるのはこの為です。

当然ですが、アルカリ性の水溶液や物質と反応しやすく、アルカリ金属やアルカリ土類金属は炭酸ガスを吸収して、炭酸塩や炭酸水素塩を生成します。

炭酸ガスは燃焼や呼吸で育成される

ちなみに高圧環境では二酸化炭素の飽和水溶液を冷やすと、八水和物が生成されます。炭酸ガスとは大気中にも含まれている一般的なガスですが、その生成は燃焼だったり動物の呼吸など様々です。燃焼は石油や石炭、木材に含まれている炭素が炭酸ガスとして大気中に放出します。呼吸は動物だけでなく植物も炭酸ガスを発生させますが、他にも有機物の分解が炭酸ガスの発生源となっています。

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微生物が有機物を分解する過程において、炭酸ガスが生成されて大気中に放出されるメカニズムです。火山によっても炭酸ガスは発生しますから、人間の営みに動植物や微生物の活動、そして地表の活動そのものも発生源になっていることが分かります。

余談ですが、還元しやすい一部の物質を除いて、炭酸ガスの二酸化炭素中では燃焼しないです。金属でいえばマグネシウムが二酸化炭素中で燃焼する物質にあてはまりますから、言い換えれば余程の還元性がなければ火がついたり燃えないわけです。

炭酸ガスの液化する条件は厳しい

炭酸ガスとは純粋なものは無機化合物ですが、植物の光合成を受けると有機化合物になり固定されます。固体にするだけでも冷却が必要で一般には難しい物質ですが、液体となると更に条件が厳しくなります。
炭酸ガスを液化するには-56.6℃、0.52MPaの条件を実現することが必要です。温度に加えて圧力の条件もありますから、一般家庭では作り出すのが困難ですし、相応の設備が不可欠です。

また、31.1℃で7.4MPaの条件では超臨界状態に入り、炭酸ガスは気体だけでなく液体の性質も併せ持つことになります。

圧縮二酸化炭素、高密度二酸化炭素とも呼ばれていて、通常の二酸化炭素も興味深い性質ですが、特殊な環境下では更に面白い状態に変わることが理解できます。

毒性はないが濃度は注意が必要

日常的に接していても問題にならないことからも分かるように、炭酸ガスの毒性については基本的に心配無用です。

とはいえ、濃度が高まれば無視できなくなりますし、様々な症状が現れることになるでしょう。炭酸ガスの濃度が3%を超えると頭痛が始まり、めまいを伴ったり吐き気を感じることになります。更に濃度が上がると症状が強くなり、7%以上では僅か数分で意識を失います。炭酸ガスとは麻酔作用を持つ気体ですから、呼吸中枢の働きが妨げられて、最終的に呼吸が止まり死亡します。

いわゆる二酸化炭素中毒はこのように症状が現れたり進行することで、命を落とすことになるわけです。ただ、感覚的には痛みや苦しみを感じにくく、苦痛なく意識を失うことが分かっています。

血中濃度からストレスを推察できる

炭酸ガスは呼吸にも含まれていますが、血中の濃度は呼吸によって変化するので、血中濃度からストレスを推察することができます。二酸化炭素濃度の異常な低下は過呼吸によって生じるので、血中濃度が低い人は過換気症候群、過呼吸症候群が疑われます。

あらゆるものと深い関わりがある炭酸ガスですが、工業用途ではレーザー用途で活用されています。医療用でもレーザーメスに使われていますから、炭酸ガスの有用性や重要性については言うまでもないです。

溶接作業では炭酸ガスアーク溶接が主流ですし、オゾン層破壊の原因の1つといわれているフロン系冷媒の代わりに、このCO2が代替として注目を集めています。

農業では促成栽培や植物の成長を促す二酸化炭素施肥として、鮮農産物の貯蔵用途にも欠かせないです。

しかし、誰にとっても身近な炭酸ガスとはやはり炭酸飲料や入浴剤で、広く親しまれているものがあてはまるでしょう。

 

炭酸ガスの様々な用途

炭酸ガスは私たちの身近な存在であり、実は呼吸にも含まれています。人間が生活するうえで、他分野で利用され、様々な用途に使われています。殺虫(農薬として)、ガス封入・ガス包装、ガスパージなど、その用途は多岐に渡ります。

一般的に炭酸ガスとは、コーラやビールなどの炭酸飲料の発泡剤に使われたり、固体のドライアイスによるアイスクリームや冷凍食材等の冷却と言うように、身近な生活用途に使われていることが多いです。このようなことから年間需要料はなんと100万トンにも上っています。

国内で使われるドライアイスの約半分を供給するメーカーがエア・ウォーターであり、ドライアイスは機械式冷凍機がなくても、マイナス78度の低音を得ることができます。昇華しても水のように濡れることもないなど様々なメリットがあり、手軽な冷却剤として、要冷蔵品の配送や、クール宅急便などにも使われています。ビールや炭酸飲料の発泡剤も、炭酸ガスの主な用途の1つと言えるでしょう。毎年夏のシーズンになるとこのような飲料メーカーにおいては、数多くの炭酸ガスを消費することになります。

販売量のおよそ半分がアーク溶接で使用されている

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身近な用途が多いことがわかりますが、炭酸ガスの販売量のおよそ半分を占めているものが、アーク溶接のシールドガスと呼ばれるものです。自動車や造船、橋桁や建築物など、様々な構造体を作るためには、溶接作業を欠かすことができません。このときのアーク溶接は、電気アークの高温で金属を溶かして接合する加工方法を行いますが、炭酸ガスで溶接部を覆うことによって、酸化反応の進行を防いで良好な溶接品質を維持することが可能です。
溶接用シールドガスにおいては、最適なバランスで炭酸ガスの混合が行われているのです。

精密部品や機械部品の洗浄

そして細かな用途が多いことも炭酸ガスの特徴と言えるでしょう。ドライアイスが消化する際のエネルギーを使って、精密部品や機械部品の洗浄に使うドライアイス洗浄と呼ばれるものが存在します。ブラスト剤を使うこともなく、洗浄品が濡れないドライ洗浄が可能となっています。

農業栽培促進用

そして炭酸ガスは植物の光合成にも欠かすことができません。農業用のハウスにおいては、栽培促進用にも使われているのです。炭酸ガスの濃度を空気中よりも高くすることによって、露地物においては不可能となる増産、また計画的な栽培が実現されます。近年では多くのハウス栽培においてもこの技術が使われています。

健康、美容の用途

炭酸ガスを水に溶かして炭酸水を作ることができますが、温浴効果を得るための人工炭酸泉、炭酸シャンプー、そして炭酸ガス成分を含む化粧水など、健康や美容分野においても活躍が見られます。

腹腔鏡手術用で利用

そして医療分野においては、腹腔鏡手術用で利用が注目を集めています。この手術は術部を回復することのない内視鏡手術の1つに当たりますが、患者への負担が少ないことや、術後の回復が早いなどのメリットがあります。このようなメリットから、手術件数は増加傾向にあるでしょう。

炭酸ガスは内視鏡やレーザーメスナットで手術を行うスペースを確保するため、腹部を膨らませるために使用されます。手術が終われば炭酸ガスは抜き取られることになりますが、たとえ体内に残ったとしても吸収され、呼吸で体外に排出されることになり、人体には特に影響はありません。

炭酸ガスが空気中の二酸化炭素にはごくわずかの量しか含まれていないので、一般的に空気分離によって製造することができません。工業様としては、石油化学プラント、製鉄所などから発生する手順どの複製画数を精製した高純度の炭酸ガスが、ドライアイス製品等に生まれ変わることになるでしょう。これらは本来大気中に放出されるものをリサイクルしていることから、地球温暖化にもほぼ影響は及ぼしません。

ガスパージ

さらには大型タンクや地下タンク、配管などの実際に流れるガスとは異なり、不活性ガスを代わりに見出し気密検査や開放検査を行うケースもあります。この時に使われるものがガスパージと呼ばれるもので、実際に使用するガスを追い出すガスのことを指しています。
そのガスパージに炭酸ガスを利用する方法が挙げられます。中に入っているガスが例えばプロパンなどの場合には、都市ガスよりも重い炭酸ガスなのでパージする際には窒素ガスと比べて確実に追い出すことができるのです。これによりガス代や作業費などを安く済ませることができるでしょう。必ずしもオールマイティーではありませんが、特定の用途によって窒素ガスパージよりもメリットが得られるのが炭酸ガスパージであると言うことです。

私たちの生活を便利にする

炭酸ガスの供給方法にはいくつかのものがありますが、その1つにシリンダー供給が挙げられます。供給量は少量であるものの、1本の充電シリンダーから配送が行われます。工業用や商業用など、様々な用途への供給が可能となっています。産業分野においては、特に造船や建設、金属加工等において使用されることになるでしょう。このように一言で炭酸ガスといっても様々な用途に使われていて、私たちの生活を便利に支えてくれているのです。

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